ロンドン世界選手権:女子3000mSC展望 – アメリカのエマ・コバーンが混戦のなかでメダルを狙う

世界記録を出し、オリンピックで金メダルを獲得した翌年、その選手は世界選手権でメダルさえ獲れない、そんなことが起こるのが陸上の世界だ。これは、今年の女子3000mSCも例外ではない。バーレーンのルース・ジェベットが2016年に比べると、今年の調子は明らかに悪い。しかし、それが理由ではない。セリフィン・チェスポル、ヒヴィン・キエング、ビアトリス・チェプコエチなどのケニア勢が著しく力を伸ばしてきているからだ。

アメリカ代表でリオオリンピック銅メダリストのエマ・コバーンはどうか?26歳の彼女は、新しいコーチでもあり婚約者のジョー・ボッシュハードのもとトレーニングを積み、プレフォンティンクラシック (ユージンDL)では9:07.96で走り、アメリカ記録に迫った。しかし、今年は例年にない才能が揃ったレースとなるだろう。彼女にメダルの可能性はあるのだろうか。

2016 リオオリンピック
1. ルース・ジェベット, バーレーン 8:59.75
2. ヒヴィン・キエング, ケニア 9:07.12
3. エマ・コバーン, アメリカ 9:07.63
4. ベアトリス・チェプコエチ, ケニア 9:16.05
5. ソフィア・アセファ, エチオピア 9:17.15今シーズンランキング
1. セリフィン・チェスポル, ケニア 8:58.78
2. ヒヴィン・キエング, ケニア 9:00.12
3. ベアトリス・チェプコエチ, ケニア 9:00.70
4. ルース・ジェベット, バーレーン 9:01.99
5. ソフィア・アセファ, エチオピア 9:07.06

爆発する才能ある選手たち

昨年のパリDLで、ルース・ジェベットは8:52.78という世界記録を出し、女子選手の3000mSCでの可能性を示した。しかし、今彼女の後ろには、多くの才能あるケニア人選手たちがひしめき合っている。いや、彼女の前に立ちふさがってると言うべきだろうか。昨年は誰にも破られないと思われていたジェベットは今年、ロンドン世界選手権前の2回のダイヤモンドリーグではかろうじで3位と4位に入ったという感じだ。チェスポル、キエング、チェプコエチとも、ジェベットのシーズン記録の9:01.99より速いタイムで走っていた。

Embed from Getty Images

女子3000mSCが昨年に比べ、今年はより強い選手が集まったレースになるであろう、ということが分かる。去年の今頃は、ジェベットのそれまでのシーズンベストの9:01.99は、世界歴代5位の記録だった。しかし、今年は2017年のみのランキングで6位という順位だ。

このことからも分かるように、今年の世界選手権での女子3000mSCにおいて、明らかな優勝候補という選手はいない。今年のダイヤモンドリーグでは6回、女子3000mSCのレースがあり、それぞれ6人違う選手が優勝している。キエング、ジェベット、チェスポル、ノラ・ジェルト、チェプコエチ、そして2015年北京世界選手権銅メダリストのドイツ人選手、ゲサ・カルーセだ。

ジェルトはケニア代表に選ばれず、カルーセは9:15を破ったことがまだない。なので、勝つのはその他4人の誰かであろう。4人とも今年9:02を切って走っている選手だ。

誰が優勝するのかは議論の余地がある。チェスポルは5月26日に出した8:58.78というタイムで今シーズン最高記録をマーク(世界歴代2位の記録でもある)、今年9:00を切った唯一の記録だ。しかも、彼女は水濠の前で脱げてしまった靴を履きなおすために少し止まったから、実際はもう少しいいタイムが出ただろうと予想できる。

キエングは今シーズンの世界の3000mSCをリードしている。ジェベットの方が自己ベストは速く、リオオリンピックのチャンピオンである。しかし、ベアトリス・チェプコエチが勝つ可能性も考えられる。昨年のリオオリンピックで4位に入った26歳のこの選手は、今年もっとも安定した成績を残している。5つのレースで全て1位か2位にゴールしている。また彼女は9:02を2回以上出している唯一の選手であり、実際彼女は3回そのタイムで走っている。今シーズンもっとも速いタイム上位5番目までのタイムのうち、3つが彼女のタイムなのだ。

しかし、チェプコエチについてもっと注目すべき点は、彼女の調子が最近とてもいいことだ。トップレベルの選手が一同に終結した最近のレースは、7月1日のパリDLであるが(これまでのレースでも稀にみるぐらいトップレベルの選手が一同に会したレース)、このレースでチェプコエチは2位に4秒差をつける9:01で優勝している。その3週間後、チェプコエチはモナコDLの3000mで8:28という素晴らしいタイムで走り、ローラ・ミューアやシャノン・ロウバリーたちの強豪選手を打ち負かしている(ヘレン・オビリだけがチェプコエチに勝った選手だった)。今、一番調子を上げている選手は、チェプコエチかもしれない。

Embed from Getty Images

もしチェプコエチが勝つとなると、それはすごいことになるだろう。なぜならば、彼女が初めて3000mSCを走ったのが2016年5月28日、彼女が25歳になる、たった1か月前なのだ。そして、それから15か月後、世界チャンピオンになる、という計算だ。

ケニア生まれの選手がメダル候補の筆頭であるが、それ以外の選手でもメダルの可能性はもちろん考えられる。リオオリンピック銅メダリストのエマ・コバーンだ。ドイツのゲサ・カルーセは、7月16日のラバトDLで9:18というタイムながらもいい走りをしている。ソフィア・アセファはエチオピア選手権で自己ベストをマークしており、過去に世界選手権とオリンピックでメダル獲得をしている。

チュニジアのハビバ・ジリビは2012年のロンドンオリンピックで金メダルを獲得し(ドーピング失格選手による繰り上げ金メダル)、2015年北京世界選手権では2位。しかし、今年のダイヤモンドでのレースでは9位と10位と結果に終わっている。

エマ・コバーンはメダルを獲得できるか?

そのキーワードはこの3年間、コバーンにつきまとっている。答えは“メダルは獲れる”だ。しかし、転倒や怪我で有力選手が脱落した場合の話だ。事実、今年コバーンよりもかなり速いタイムを出している選手は4人、アセファはコバーンよりわずかにいいタイムを出している。去年のリオオリンピックのジェベットのように誰かが前に出た場合、コバーンにとっては不利な状況となるだろう。

Embed from Getty Images

しかし、今年のコバーンはそんなに悪い走りはしていない。プレフォンティンクラシック (ユージンDL)で9:07.96で走り、アメリカ記録にあと0.33と迫るタイムだった。パリDLでは、世界の強豪選手の中で、コバーンは9:11というタイムで5位に入り、4位だったジェベットとはたった0.13差、キエング(9:06)とチェスポル(9:07)も射程範囲内だった。

去年、コバーンはプレフォンティンクラシック (ユージンDL)で9:10、リオオリンピック決勝では9:07までタイムを伸ばしている。もし今年も同じようにタイムを伸ばせるようであれば、彼女にもメダルの可能性が出てくる。メダルを取るには9:00以内でゴールする必要が出てくるだろう。ロンドン世界選手権までには9:00を切れるタイムを出せるだろうと、以前彼女は話していた。

2年前の北京世界選手権のように、スローペースのレース展開になれば(優勝タイムは9:19)、重要になってくるのは、ポジショニングと最後の水濠だ。カルーセが、自分より持ちタイムが速い選手が多くいる中で北京世界選手権でダルを獲得したように。そして今年の、ラバトDLのように。

レッツランの予想:優勝チェプコエチ 2位チェスポル 3位キエング

チェプコエチ、チェスポル、キエング、そしてジェベットは1~4位の間でゴールするだろう。しかし、我々の予想はパリDLの結果を反映してジェベットはメダル圏外とした。女子3000mSCの世界で今後、9:00切りというタイムは普通になってくるだろう。チェプコエチのようなフラットランナー (3000mSC以外でもそこそこ走れる)が、この競技を始めているからだ。コバーンはよくてアメリカ記録の更新、メダルには一歩届かないあたりでのゴールとなるだろう。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/08/2017-worlds-womens-3000-steeple-preview-emma-coburn-tries-medal-wide-open-top-heavy-event/

 

〈 TOP 〉

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中