ケネニサ・ベケレがベルリンマラソンに出場 – エリウド・キプチョゲ、ウィルソン・キプサングとの世界記録をかけた三人のベルリンマラソン王者による三つ巴

(大会からのプレスリリース)

9月24日のベルリンマラソンでは面白い戦いが繰り広げられる – 歴史上初めて、世界トップ3のマラソン選手が集結し、エリウド・キプチョゲ、ウィルソン・キプサング、そしてケネニサ・ベケレの3人がスタートラインに立つ。 ベルリンマラソンはアボット・ワールド・マラソン・メジャーズのレースであり、IAAF公認のゴールドランクのロードレースである。

エリウド・キプチョゲの目的は、2014年のベルリンマラソンでデニス・キメットが出した2:02:57の世界記録を破ることだ。キプチョゲは5月初旬、イタリア・モンツァのF1サーキットで行われたナイキによるBreaking2レースで、2:00:25という非公式記録ながらも歴史上マラソンで最も速い記録を出し、ナイキによる“ラボテスト”を受けた。しかし、この記録は、度々入れ替わるペースメーカーたちが風よけとなって、スタートから42.0km付近までキプチョゲをサポートしたことによって達成された記録である。

公式のレースでは、ペースメーカーは3人までに限られており、途中で交代することは許されていない。キプチョゲは、後にこのようなコメントをしている。

「モンツァでは、もう少しで2:00:00の壁をやぶることができた。ベルリンマラソンは、私にとって公式の世界記録を出すのに絶好の大会である」

32歳のエリウド・キプチョゲは、長距離選手として長く輝かしいキャリアを積んできた。2003年のパリ世界選手権5000mで優勝、2004年のアテネオリンピック5000mで銅メダル、2008年北京オリンピック5000mで銀メダル、2016年リオオリンピックではマラソンで優勝している。

35歳のウィルソン・キプサングの全盛期は4年前、第40回ベルリンマラソンにおいて、当時パトリック・マカウが持っていた世界記録の2:03:38を15秒更新した時だろう。しかし、キプサングの2:03:23というこの時の世界記録は、その12か月後に塗り替えられてしまう。2014年にデニス・キメットが、高速コースとして知られるベルリンマラソンで、歴史上初めて2:03:00の壁を破り、2:02:57の世界記録を出したのだ。その記録は現在も世界記録として残っている。

2016年にキプサングは、2013年のベルリンマラソンで自らが出した元世界記録=自己記録 (2:03:23)よりも10秒速いタイムで走ったが、その時の順位は2位で、優勝したのはエチオピアのケネニサ・ベケレだった。ベケレは2:03:03のタイムで優勝したが、世界記録まであと6秒だった。

キプサングは(ペーサーが抜けてから)レースの後半にペースを上げたが、ラスト2kmでラストスパートをかけたベケレについていく力が残っていなかった。しかし、去年のこのレースで、キプサングはまだまだマラソンで記録を狙えることを確信し、この9月24日のベルリンでそれを証明したいと考えた。

「ベルリンマラソンへのモチベーションがすごく高い。今までにないぐらいに準備が整っている」

ケネニサ・ベケレは昨年のベルリンマラソンで世界記録まであと6秒と迫ったが、この時、彼はレースの後半に何度も脚に異変を感じていたという。脚が痙攣していたが、彼はレース中にそれを克服し、最後は渾身のラストスパートで優勝へ向けてスピードを上げる事が出来た。ベケレは、陸上長距離界の歴史で最も成功した選手である。

オリンピックでは3回、金メダルを獲得しており、世界選手権でも5000mと10000m合わせて5回優勝している。また、世界クロスカントリー選手権においても、ショートの部、ロングの部あわせて11個のタイトルを獲得した。さらに、ベケレは5000mと10000mの世界記録保持者でもある。ベケレは2014年にマラソンに転向した。この9月24日のベルリンマラソンは、彼にとっては8回目のマラソンである。

2014年のパリマラソンを2:05:04で走ってマラソンデビュー、その後シカゴマラソンでは2:05:51の4位、2015年のドバイマラソンでは途中棄権。2016年のロンドンマラソンは2:06:36で3位、そして、2016年のベルリンマラソンでは2:03:03で優勝。2017年ドバイマラソンはまたもや途中棄権し、ロンドンマラソンでは2:05:57で2位に入った。多くの専門家は、陸上長距離界におけるベケレの功績は、彼を唯一無二で偉大な選手としての地位を確立したと考えている。

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ベルリンマラソンのレースディレクターを務めるマーク・ミルデ (左)

1999年から現在に至って、ベルリンマラソンのレースディレクターを務めているマーク・ミルデは、エリート選手のリクルーティングも行っているが、現在のマラソン界の頂点に君臨する選手たちが今回のベルリンマラソンに集結したことにはとても満足をしている。

「まさにドリームマッチだ。今、世界で最も強い3人の選手が同じレースで戦う、そんなことはめったにない機会だ。オーガナイザーとして、天候に恵まれること、そしてスリリングなレースになることを、祈っているよ」

 

3選手のプロフィール

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ケネニサ・ベケレ (エチオピア) 1982年6月13日生まれ (35歳)
マラソン自己記録:2:03:03 (ベルリンマラソン 2016 優勝)
【主要タイトル】
2004年:アテネオリンピック10000m金メダル、5000m銀メダル、2008年:北京オリンピック10000m金メダル、北京オリンピック5000m金メダル
2003〜2009年:世界選手権4大会連続10000m金メダル、2009年:ベルリン世界選手権5000m金メダル、2003年:パリ世界選手権5000m銅メダル
2002〜2006年:世界クロスカントリー選手権ショートの部+ロングの部5年連続2冠、2008年ロングの部優勝
5000m現世界記録保持者:12:37.35 / 2004年
10000m現世界記録保持者:26:17.54 / 2005年 (2004年26:20.31で世界記録を更新)

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エリウド・キプチョゲ (ケニア) 1984年11月5日生まれ (32歳)
マラソン自己記録:2:03:05 (ロンドンマラソン 2016 優勝)
【主要タイトル】
2016年:ロンドンマラソン優勝、リオオリンピックマラソン優勝
2015年:ロンドンマラソン優勝、ベルリンマラソン優勝
2014年:ロッテルダムマラソン優勝、シカゴマラソン優勝
2013年:ハンブルグマラソン優勝、ベルリンマラソン2位

2010年:英連邦競技大会 (コモンウェルス・ゲームズ) 5000m2位
2008年:北京オリンピック5000m銀メダル
2007年:大阪世界選手権5000m銀メダル
2004年:アテネオリンピック5000m銅メダル
2003年:パリ世界選手権5000m金メダル、世界クロスカントリージュニアの部優勝

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ウィルソン・キプサング (ケニア) 1982年3月15日生まれ (35歳)
マラソン自己記録:2:03:13 (ベルリンマラソン 2016 2位)
【マラソン主要タイトル】
東京マラソン 2017 優勝
ロンドンマラソン 2014 優勝
ニューヨークシティマラソン 2014 優勝
ベルリンマラソン 2013 優勝 (世界新記録)
ロンドンオリンピック 2012 銅メダル
ホノルルマラソン 2012 優勝
フランクフルトマラソン 2010, 2011 優勝

 

ベルリンマラソンにおける男子マラソンの世界記録更新
1998年:ロナルド・ダ・コスタ (ブラジル) 2:06:05
2003年:ポール・テルガト (ケニア) 2:04:55
2007年:ハイレ・ゲブレセラシエ (エチオピア) 2:04:26
2008年:ハイレ・ゲブレセラシエ (エチオピア) 2:03:59
2011年:パトリック・マカウ(ケニア) 2:03:38
2013年:ウィルソン・キプサング (ケニア) 2:03:23
2014年:デニス・キメット (ケニア) 2:02:57

ベルリンマラソンでの女子選手の世界記録更新は、1977年:クリスタ・バーレンジーク (西ドイツ) 2:34:48、1999年:テグラ・ロルーペ (ケニア) 2:20:34、2001年:高橋尚子 (日本) 2:19:46の3度達成された。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/08/kenenisa-bekele-joins-eliud-kipchoge-wilson-kipsang-2017-berlin-marathon-field/

 

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  1. ピンバック: 興奮すること間違い無し:日曜日のベルリンマラソンでキプチョゲ vs ベケレ vs キプサングが世界記録をかけて対戦 – LetsRun.com Japan

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